指輪の手作りキットってどうなの?指輪のプロがレビューしてみる

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市販されている自宅で手作り指輪をDIYできるキットには、気軽に楽しめるアクセサリー用の物から、本格的な指輪を作れる物まで様々なキットがあります。中には結婚指輪を自作できる様なキットも。

なかなか気に入った指輪が見つからなかったり、良いアイデアが浮かんだ時に「自分で作ってみようかな!?」と、思われることもあるでしょう。その際に気になることは、上手く作れるのか?どんな物が出来るのか?ではないでしょうか?

今回はワークショップを運営している私の私見にはなりますが、主要な手作り指輪キットをカテゴリーごとに分類して、以下の5つのポイントに分けて考察していきたいと思います。

  • 手軽さ (作る際の道具や費用)
  • 難易度 (思い通りの形に作れるかどうか)
  • 向いているデザイン
  • メリット
  • デメリット

 

指輪の手作りキットにはどんなものがある?

まず手作り指輪のキットにはどの様なものがあるか調べてみました。大きく分類すると以下の4系統です。

  • 粘土系
  • レジン系
  • 金属系
  • ロストワックス系

多くのキットが見つかりましたが、原理的な製法は限られているため、ほとんどの手作り指輪キットは上記のいずれかに当てはまると思います。購入を迷われているキットがありましたら、まずはどの系統に当てはまるか確認してみて下さい。

それでは、それぞれの系統のキットについて分析・解説していきます。

 


粘土系の手作り指輪キットってどうなの?

手軽さ

学生時代に図工の時間で使用する紙粘土と使い方は同じですので、制作に必要な道具はキットについている道具で足りますが、指輪のサイズを合わせる棒がキットについていない場合は代用できる棒が必要になります。

造形時には彫刻刀・木べら・スパチュラ・プラ板 (型取り用)・ビニール手袋が、磨きの際にはリューターがあると便利です。焼いて硬化させる際にはガスコンロ・電子レンジが、乾燥にドライヤーが必要なキットがありますので、説明書をよく読んでから購入して下さい。

難易度

銀粘土で作る場合、ペンダントやキーホルダーと比べて、指輪はサイズ合せが必要なため少し難易度が上がります。焼いて硬化する時に縮むのですが、キットによって、また造形物の大きさによって収縮率が変わります。少し大きめに造形して調整しましょう。

何度か作るうちに丁度良い輪のサイズが見つかると思います。ストーンを使用しない指輪は比較的容易に作れます。石付きの指輪の場合は硬化後に石に枠のサイズを合わせる必要があるのでリューターが必要になります。石留めは瞬間接着剤で可能です。

向いているデザイン

丸みのあるデザイン・手作り感を活かすデザイン・型を押しつけて型取りのできるデザインに適しています。反対に角のあるデザインは角が丸まってしまいます。また、細かな表現のデザインは潰れてしまうので銀粘土には適していません。

メリット

文房具や外国の硬貨など、ご家庭にあるものを使って型取りする。もしくは、思い描いたデザインをプラ板で作って型抜きし、指輪に転写する等、工夫次第で銀粘土の表現力は非常に広く、身近なものとアイデアで様々な作品を作ることができます。

また、完成までの時間が短いので作った指輪をすぐに着けることができます。制作に慣れてくると自分だけの裏ワザを発見する楽しさもありますね。銀粘土はキットによって性質が違うので、自分に合ったキットを見つけたら次も同じ物を購入する方が良いでしょう。

デメリット

造形面では、細かな表現が出来ない・型崩れしやすいことが挙げられます。デザインを考える際にはアバウトでもカッコよく見えるデザインを考えましょう。焼成硬化では必ず縮みがでてしまうので、この点は制作を重ねながら覚えていくしかなさそうです。

また、当店併設店で制作後のお修理を承っておりますが、キットによっては成分の関係上、火を当てると溶接が付かない・溶けてしまうという事例を確認しており、指輪のサイズ直しや折れてしまった部分の修理が出来ないケースがあります。

 


レジン系の手作り指輪キットってどうなの?

手軽さ

レジン (紫外線硬化樹脂) 系のキットでは、レジン液とモールド (シリコン型) がセットになっていて、UVライト (樹脂を固める紫外線ライト) については別売り、もしくは持っていることが前提になっているケースが多い様です。

ご自宅にネイルアート用のUVライトがあれば十分です。UVライトをご購入される際は、懐中電灯式ではなく置き型の方が使いやすいです。その他、100円均一等でインク・ビーズ・モールド・楊枝を揃えるとデザインの幅が広がり楽しめます。

難易度

基本的にはモールドにレジン液を流し、UVライトを当てて硬化を待つというシンプルな流れですので、とても作りやすいです。慣れてきたら半分固めてからビーズ等を入れる・固まりかけでインクを流す等、オリジナリティを出していきましょう。

さらに慣れてきたらモールドを自作したり、木や金属等の別素材と組み合わせた指輪を作ることも可能です。この場合はレジン硬化のタイミングを見る練度の他に、シリコン型を作る技術、銀粘土や木工の制作技術が必要になります。

向いているデザイン

基本的には、透明なレジン液をシリコン製のモールドの形に合わせて制作するので、指輪の中をデザインしていくことになります。レジンの中に絵を描いたり、狙った場所にストーンを置くことは難しいので抽象的なデザインが合っています。

メリット

UVライトさえあれば、器具・作成用素材共にあまり費用はかかりません。レジン用のライトでなくても構わないので、Amazonや楽天市場等でも手に入りやすいです。マニキュアを使用された経験があれば、感覚的には近いので、始めやすいと思います。

固める際に入れるパーツの組み合わせや、染料の色を工夫すれば風景画の様な作品や絵画的な作品も作ることができます。海に行った思い出に貝殻を拾ってきて、貝入りの指輪にするのも良いですね。技術というよりはアイデアを活かす作品作りになります。

デメリット

モールドというシリコン製の型にレジン液を流し込んで作るので、指輪の形状は同じ形しかつくれません。様々な形状を作りたい場合には、固まった後に紙やすり等を使って削っていくか、シリコン型自体を自作する必要があります。

制作後の弱点として、レジン樹脂で作成した透明感のある指輪は、経年と太陽光によって黄色く変色してしまいます。また、指輪サイズの直しも行うことが出来ないので、新たに作り直すか、大きくしたい場合には内側を削って調整する必要があります。

 


金属系の手作り指輪キットってどうなの?

手軽さ

金属系のキットにはストーンとリング枠がセットになっていて、石留め体験を楽しむタイプと、不定形な形のシンプルな指輪を叩いて、真円のリングに作るタイプがありました。前者はヤットコ (ペンチの様な工具) と接着剤があればOKです。

万が一強く留めすぎてストーンを破損してしまっても、インターネット等で近い物を揃えることができます。後者の指輪を叩いて真円リングに作るタイプは、キットに全て含まれている様なので別途必要な工具はありません。

難易度

金属系の指輪キットは、どちらもあらかじめ形が出来上がっているので、特に難しいポイントはありません。説明書を読みながら制作しても1時間あれば十分完成させることができると思われます。素材はどちらも真鍮かシルバーの様です。

石留めキットは金属の上からメッキがかかっている場合があるので、爪を傷つけない様、またストーンを割らないように徐々に力を入れて下さい。指輪を真円に作るキットは強く叩きすぎるとサイズが広がってしまうので、様子を見ながら軽く叩いて下さい。

向いているデザイン

どちらも指輪のフォルムはあらかじめ決まっているので、商品の完成図紹介をご覧になって好みのキットを選んで下さい。石留キットのタイプはご自身でストーンを別購入することで、別のアクセサリーやお洋服と合った配色にすることができます。

メリット

石留のキット・叩いて作るキット共に、8割方出来上がっている指輪の最終工程をご自身で完成させる内容になっているので、「私不器用だから作るのはちょっと…」と思われている方でも安心して制作できます。

叩いて作るキットについては、自分で作るのは不安だからメインは職人さんにやってもらって、ちょっとだけ指輪作りに関わることで指輪に想いを込めたいというお考えの方に適しています。

デメリット

両方のキットとも指輪のフォルムがほぼ出来上がっているのでアレンジの幅は広くありません。また、制作を繰り返して練度を上げても初回と大きな差は出にくいでしょう。手軽に作った感を楽しめる指輪という位置づけのキットなのではないでしょうか。

金属を直接加工する場合、加工した物がそのまま指輪になるという即時性のメリットがありますが、その反面、加工することが難しく時間がかかるというデメリットがあります。そのため、手軽に作れるキットとして商品化されたものはアレンジの幅が狭くなってしまうのも仕方がないですね。

 


ロストワックス系の手作り指輪キットってどうなの?

手軽さ

ロストワックスという蝋素材を削って指輪を作るキットは、制作に必要な道具の種類が多いため、初期費用が高額になってしまうことが多いです。また、削る際に蝋が粉になって飛ぶので、制作環境を整える必要があります。

ロストワックスでお目当ての指輪に作るには、ロストワックスを型として、鋳造・磨き仕上げの工程が必要になります。鋳造は専用窯で行うので多くの場合は専門の鋳造会社に依頼し、磨き仕上げには金属用の工具が必要になるため、ハードルは高めです。

難易度

ロストワックス自体は安価ですが、整える必要がある工具・制作環境を鑑みると、制作を始めるにあたっての難易度は高いと言えます。また、キットの説明や参考資料だけでは分かりにくい点が多いので、独学のみでは難しいかもしれません。

舞台道具や歯科技工士の方にとってはお仕事の延長線上にある素材と工法ですのでオススメです。また、シルバーアクセサリー制作は、これらのご職業の方が副業として多く活躍されています。キットをきっかけに時間をかけて長く楽しめるジャンルです。

向いているデザイン

ロストワックスは、多くのジュエリー職人さん達が使用している部材ですので、アイデアと練度次第で、あらゆるデザインの指輪を作ることができます。初めは形にすること自体に時間がかかり、難しいですが、慣れてくると作品の幅が広がります。

メリット

独学で指輪を作れるようになるまで時間がかかりますが、その分完成した時の満足感は高いでしょう。練度や覚えた工法によって作品の完成度が大きく変わってくるため、一生の趣味として楽しむことができます。

プロの職人さんも使用している素材ですので、表現力も高く本格的なジュエリー作りに適しています。ゴム型という型取りをして残しておけば、気に入った作品を2つ鋳造して、1つは身に着ける用に、もう1つはお家に飾っておくといったこともできます。

デメリット

セミプロからプロの職人さん向けのキットのため、作品を指輪に完成させるには初期費用が高く、工具やロストワックスを扱うための知識取得にも時間を要します。キットを購入される方は、ジュエリー学校で学んでから制作に当たる方が多いです。

思い描いた通りの指輪が作るれるようになるには、かなりの時間を要しますが、一度作れるようになるとムクムクと制作意欲が湧いてきます。手軽に手作りを楽しむというよりは、ゆっくりじっくり作るというのを趣味にしたい方に向いています。

 

自宅で手作りする際に共通するメリット・デメリット

これまで個別の系統ごとにご紹介してきましたが「そもそも自宅で手作りって可能なの?本当に楽しめる?」という方もいらっしゃると思いますので、全体的なメリット・デメリットについてもお話しします。

自宅で手作りするメリット

  • お店で完成品を買うよりも安くなる。
  • お店にはない自分に合ったアクセサリーが作れる。
  • 人目や時間を気にせずに趣味として楽しめる。
  • 慣れるとアレンジしたり、キットを組み合わせて、よりオリジナリティのある作品が作れる。

一度キットを使用して作り方が分かれば、後は部材を足したり別素材を用意して、ご自身の欲しいアクセサリーを低価格でGETすることができますね。お洋服を買ったら、それに合わせてアクセサリーは自作というのも楽しいと思います。

また、作ること自体が楽しくなってくると、誰にも邪魔をされない制作時間がご自身にとってかけがえのない趣味の時間にもなります。慣れてきたらアレンジを考えてインスタにアップしたり、友人にプレゼントすると大変喜ばれるでしょう。

自宅で手作りするデメリット

  • 部屋が汚れやすい。
  • キットによっては初期費用が高い。
  • 作り方に迷った時に聞ける人がいない。
  • 作品が壊れてしまった時に修復が難しい。

デメリットには制作環境を整えたり、後片付けを毎回行わなければならないという煩わしさがあります。火や薬品を扱う場合は換気等、環境を整えてから作業にかかりましょう。作り終わったら毎回きちんと片付けをしないと部屋を汚してしまいます。

また、キット以外の工具の費用が高い場合があります。キットの他に必要なものがないか調べてから購入しましょう。そして、自作の一番の難点は迷った時やトラブルが起きた時に聞ける人がいないことかもしれません。失敗も楽しめる心構えが大切です。

 

まとめ

手作りキットによって特性や用途、作れるアクセサリーが違うので、どのキットが良いということはありません。ご自身が欲しい!と思ったアクセサリーや、作りたい指輪のイメージ、制作の難易度を考慮して興味を持ったキットからチャレンジしてみて下さい。

横浜指輪工房では、ロストワックスを使って指輪作りをしてみたい方向けに、いくつかコースをご用意しております。また、併設店のジュエリー優では、自作したロストワックスの鋳造・仕上げや、破損してしまったアクセサリーのお修理も承っておりますのでご相談下さい。

失敗を気にしないで、まずは気軽にやってみる!ということが大切です。自分で気に入った一品を作ることは、とても楽しい体験ですので是非キットを選んで挑戦してみて下さい。あなたの「楽しい!」体験と、オリジナルアクセサリー作りを応援しています。

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